お道具を使う一人エッチにはまっていた歩は、
ある日自宅を捜索に来た刑事の前田にプレイを目撃され、さらにイクところまで見られてしまう。
海外からグッズ通販していた歩を、怪しいものを輸入しているのではと疑っていたらしい。
その日以来、前田を忘れられず、歩は何とか接点を持てないかと画策する。
そんなとき、前田とアダルトグッズの試用をすることになり、
歩のコンプレックスである陥没乳首がバレて敏感になるほど弄られて……。
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登場人物紹介
- 桜岡歩(さくらおかあゆむ)
弁護士を目指す浪人生。陥没した乳首がコンプレックスで、お道具を使ったセルフ開発に励む。
- 前田基紀(まえだもときよ)
新宿西署の刑事で、歩のお道具プレイ中に家宅捜索にやってきたが…。
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「……くっ」
切迫した呼吸が、桜岡歩の口から漏れた。
都内にあるワンルームマンションで、歩は一人暮らしをしている。司法試験のための予備校へのアクセスのよさの代わりに広さを犠牲にしたから、何もかもコンパクトにまとまった室内だ。
八畳ほどのフローリングに、コンロが一つしかない狭いキッチン。
バスとトイレが一緒の細長い室内だから、玄関に立てば奥のほうまで見通せてしまうだろう。
窓を塞ぐように、大きなロフトベッドが置かれていた。
朝晩は肌寒く感じられる十月下旬だったが、歩は下着一枚つけていない。カーテンが引かれた室内で、歩はそのロフトベッドにつながれて身悶えている。
二十四歳の身体に食いこむ革製の拘束具は、一人で全て完成できるように開発されたものだった。
後ろ手にロフトベッドにつながれた歩の手首に、革の枷が食いこんでいる。その枷は下半身の貞操帯につながっていた。
男性用の貞操帯は、射精管理のために使われるタイプがほとんどだ。非勃起状態のときにペニスをカップ部分に挿入し、下向きに折り曲げた形で固定して施錠すると、ペニスに触れられなくなる。
その状態で勃起すると、カップの容量限界まで達したところで、それ以上の膨張が物理的に抑えこまれる仕組みだった。
その圧迫感と焦れったさが拘束感を呼び起こし、直接しごいて射精したくてたまらなくなるのを、我慢するのが醍醐味だ。射精は施錠を外さないかぎり、かなわない。
そんな歩をさらに追い詰めるのが、後孔に忍ばせた淫らな玩具だった。今日は海外通販で届いたばかりのパワフルなフィンガーバイブを試したくて、このセルフ緊縛を試みたのだ。
電池を新しく入れたばかりのその道具がもたらす強烈な振動を、今の歩には止めることができない。貞操帯でその出入り口を完全に塞がれているうえに、貞操帯の南京錠の鍵は手の届かない床の向こうに放ってあるからだ。
そこまでは計算通りだったはずだが、さらに手枷をロフトの柱に固定する南京錠の鍵を、床に落としてしまったのは大失敗だった。
セルフ緊縛は、一人で全てを完成させ、ことが済んだ後には自力でその束縛から逃れられるように計算されている。だが、簡単にセルフ緊縛から逃れられるようでは楽しくない。どれだけ苦しくても、そう簡単には身体を責め嬲る道具から逃れることができないように、逃れる手段はより複雑なものに進化していく。