
なんて皮肉な再会だろうか。
13年ぶりに日本へ帰ったアーサーのもとに派遣されたペットシッターは、恨みを抱くかつての同級生、衣川臨だった。
アーサーは臨の弱みを楯に取り、匿名で復讐を始める。
だが臨を暴漢に嬲らせていた時、妙な感情が渦巻いて…。
『見たい…もっと近くで。触りたい――貫きたい』
一方、ある理由により、快楽に従順な体を持つ臨は、怯えながらも陵辱を味わう自分に愕然としてしまい!?
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登場人物紹介
-
- 衣川臨(きぬがわりん)
アーサーへのいじめを扇動していた。ペットシッターとしてアーサー宅へ派遣される。
-
- アーサー
幼いころ同級生からいじめを受けた過去をもつ。いじめを扇動していた臨に偶然再会し、復讐を決意するが…。
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「……ん、く……っ、ぅ……」
食いしばった唇の間から、途切れ途切れの呻き声がこぼれている。眉根を寄せて喘ぐ表情は、屈辱のせいか、それとも望まない快感ゆえか。
何本もの手が、衣川臨の細い体にからみつき、自由を奪っている。パーカーは肩から脱げ落ちそうになるほどはだけられ、Tシャツは乳首が覗くまでまくり上げられていた。下半身もきっと複数の手で嬲られているのだろうが、乗客の体が邪魔になって、ここからでは見えない。
普段は血の気の薄い白い顔が、今は薔薇色に上気して、なんとも言えず艶めかしい。のけぞって喘ぐたびに、くせのない黒髪が揺れる。
乗客の隙間から臨の様子を観察し、アーサー・ファーガソンはほくそ笑んだ。
(ざまみろ。どんな気分だ、一方的に服を脱がされて恥ずかしい目に遭うのは? 今度はお前が味わえ)
臨が小学生の頃にいじめたクラスメートが日本に戻ってきて、こんな形で復讐しているなど、思いもしないだろう。しばらくは誰が犯人で動機がなんなのかわからないまま、悩んでもらおう。
正体を明かすのは、当時自分が味わった屈辱に、利息を付けて返してからだ。
(それにしても男を痴漢したがる男が、こんなに大勢いるとはな)
若い女の子ならともかく、男がターゲットでは『痴漢プレイの参加者募集』とネットに書き込んだところで、何人集まるかと疑っていた。実行直前の書き込みだったし、三、四人がせいぜいだろうと思っていたが、十人以上が加わっているようだ。隠し撮りした臨の画像を載せたのが効いたのか。
痴漢達に取り囲まれて弄ばれる臨は、口を引き結び、必死に声を出すまいとしているようだ。だがしばしば快感に耐えきれなくなるのか、唇を半開きにして甘い喘ぎをこぼす。
「く……っ!」
眉根を寄せて大きくのけぞったのは、誰かの手が乳首を強くつまんだせいか。
臨が身をよじった。
人垣を透かして、臨の下半身が見えた。
デニムパンツのファスナーを全開にされ、紺色の下着が覗いている。誰かの手がその中へ入り込み、もぞもぞと動いている。肉茎をしごかれているのかも知れない。臨の唇が動いた。『いやだ』と言っているように見えた。